残像

繋いだ手が離れた時、前を歩くあの人の、後ろに向かって手を差し出す仕草を、ふと思い出した。今でも、探しているよ。そこには無いって、わかってるけれど。手だけじゃない。いつでも、どこでも、もしあの人がいたら・・・って考える。同じ匂いの人がいれば、振り向いて目で追う。同じくらいの身長の人がいれば、隣にいる時はこんな感じだったなあ・・・って思う。あの日のような、ストライプのスーツの後姿に、どうしようもなく切なくなるよ。