この病に名前があれば楽になれる

お風呂に入っていたら、突然あの人の顔が明確に浮かんで、うわあああ・・・ってなった。記憶の中のあの人の姿はだいぶ薄れてきているのに、たまにこうやってハッキリと跡を残していく。まるで忘れさせないかのように。思い出すことしかできないのは、苦しい。過去の言動で今の気持ちを測ることは、切ない。けれどそれしか頼るものがなくて、忘れまいと必死にしがみついている。それでも少しずつ、少しずつ、零れていく。あの人に関する記憶を、鮮明にずっと、永遠に残しておけたらいいのに。